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  2. 第6節 設立に関する責任
  3. VI-2 発起人等の損害賠償責任

発起人等の損害賠償責任

会社法第53条(発起人等の損害賠償責任)

  1. 発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
  2. 発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

発起人、設立時役員等は、設立について任務懈怠によって会社に与えた損害を賠償しなければなりません。また職務を行う際に悪意・重過失によって第三者に損害を与えた場合は、その損害の責任を負います。この賠償責任を負うものが複数ある場合は、連帯債務となります。(会社法第54条)

会社法第54条(発起人等の連帯責任)

発起人、設立時取締役又は設立時監査役が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において他の発起人、設立時取締役又は設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

 

責任の免除

会社法第52条1項(前回記事参照)、第52条の2第1項、2項及び会社法第53条1項の責任は総株主の同意があれば免除することが出来ます。(会社法第55条)

会社法第55条(責任の免除)

第52条第1項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務、第52条の2第1項の規定により発起人の負う義務、同条第2項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務及び第53条第1項の規定により発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

つまり、前回取り上げた、現物出資等に直接かかわった発起人・設立時取締役や仮装の払い込みに関して責任を負う発起人・設立時取締役でも総株主の同意があれば免責とする事が出来ます。
もちろん第53条2項の第三者に対する責任は株主の同意で勝手に免責とするわけにはいきません。(会社法第55条の参照規定に第53条2項は含まれていません。)

会社法第52条第1項の責任を免除する場合

会社法第53条第1項の責任を免除する場合

 

第52条の2第1項、2項については、平成26年改正で新たに追加された規定ですが、上記と同様の流れで免責となります。

仮装払込に関する規定は平成26年改正で明文化されました。こちらの記事も参考にしてください。

ちょっと複雑ですけれども、条文を照らして取り組んでください。
一応、条文はこのページでも掲載していますが、ご自分の六法を使って紙面で参照した方が流れは掴みやすいと思います。