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  3. IV-2 監査役の独立性

独立性の保障

監査役は取締役を監督する立場であることから、会社法上で独立性が保障されています。

任期

監査役の任期は4年間です。正確には選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までですが、4年間と覚えてしまって構わないと思います。

通常の取締役の任期が2年であるのに対して、監査役の任期は、独立性の保障として4年間にしています。
それを定款や株主総会決議で任期を短縮できては意味がありませんので、条文では以下のような違いがあります。

取締役の任期(第332条)
取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。

監査役の任期(第336条)
監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

監査役の任期の規定には、取締役の任期の規定のようなただし書きがありません。

また、非公開会社の監査役は任期を10年とする定款規定を置いて良いことになっています。

選任・終任

選任

監査役は取締役と同様に株主総会の普通決議で選任されます。
その株主総会に議案を提出するのは取締役(取締役会)です。

取締役が、監査役の候補を決める議案を提出できるなら、取締役に都合のよい監査役が選出されてしまいそうです。
これでは監査役に正常な役目は期待できません。
そこで会社法は、監査役の選任議案を株主総会に提出するには、監査役の同意を必要とする規定を置いています。

会社法第343条1項(監査役の選任に関する監査役の同意等)
取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。

※会社設立時には、同意を得ようとしても監査役がまだいません。では設立時監査役はどうやって選任するのかというと、発起人が選任します。(過去記事「設立」会社法第38条を参照ください)

終任

監査役の終任については、取締役と同様の規定があるものの、株主総会による解任は特別決議によるものとしています。
また、監査役は、監査役の選任、終任について株主総会で意見を述べることができ、辞任した後も辞任後最初の株主総会で辞任した理由などを述べることができます。

取締役 監査役
会社との関係 委任(終了事由は民法第653条) 取締役と同様
欠員を生じた場合 新たに役員が選任されるまでは引き続き権利義務を負う 取締役と同様
解任の訴え 少数株主による解任の訴え 取締役と同様
株主総会による解任 普通決議 特別決議

 

監査役の報酬

監査役の報酬は、定款または株主総会決議で定められます。取締役の報酬規定とは異なり、監査役は株主総会において報酬についての意見を述べることが出来ます。これも監査役の独立性を保障する趣旨によるものです。

 

監査役の資格

会社法335条2項
監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。

監査役は取締役の職務を監査しなければならないので、監査役が監査対象の取締役と同僚であっては意味が無いし、ましてや、権力で支配されやすい子会社の取締役や使用人などでは監査役としての期待ができません。

実際に監査役に対して、取締役の力が及ばないかどうかは別として、建前としてはこのような制度で監査役の独立性は保たれています。