株主総会は名の通り株主によって構成される機関です。
株主総会は、その株式会社が取締役会を設置するかしないかで、大きく異なります。
非取締役設置会社の株主総会
取締役会を設置しない(非取締役設置会社)場合は、株主総会は株式会社の組織、運営、管理その他の一切の事項について決議することができます。株主総会が万能機関だといわれるゆえんです。
取締役会を設置しない会社は、かつての有限会社のように、小規模で株主と取締役の関係が近く、言い換えれば所有と経営の分離が進んでいない会社を想定しています。
取締役会設置会社の株主総会
取締役会設置会社では、非取締役設置会社に比べて規模が大きい会社を想定しています。
規模が大きい会社では、株主が多くなり、執行する業務も複雑で多岐に渡ります。
このような規模の大きい会社を想定するに、株主総会があらゆる決め事に対して決議をするにも、株主の数が多くなると、それだけ利害関係も複雑になりますし、業務が滞るだろうと想像できます。
そこで取締役設置会社では所有と経営の分離をより進めて、株主総会の決議できる事項を、定款と会社法で定める事項に限定しています。
取締役会設置会社の株主総会においては決議事項は大きく次の通りです。
- 取締役等の選任・解任に関する事項
- 定款変更や事業譲渡・合併などの会社の基礎を変更する事項
- 剰余金の配当など株主の重要な利益に関する事項
- 取締役の報酬など、他に委ねることが適当ではない事項
今回は家族経営のような小さい会社を想定した非取締役会設置会社と、大規模な会社を想定した取締役会設置会社の、株主総会の権限を表面的に書きました。ただ、日本では中小企業を中心に、取締役会設置会社といえども家族経営のような会社が多く、所有と経営の分離はそれほど進んでいないという現実があります。
これは旧商法で取締役会は必置の機関であったことがあり、「3名以上の取締役」を確保するために名目上の取締役が存在していて、その機関設計のまま今日まで至っている。つまりは組織に合った機関設計がなされていないという現状が会社法の学習を難しくさせているかもしれません。