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共益権

共益権とは、株主が会社の経営に参加し、会社の経営を監督・是正する権利です。

共益権の中心を成すのは、株式総会での議決権です。

共益権は、一単元株でも保有していれば認められる単独株主権と、一定数の株式の保有が必要な少数株主権があります。
また、各種書類の閲覧請求権も共益権の一つと捉えられます。

少数株主権

kanngaeru少数株主とは「少数」と付いてますが、大株主の事です。まとまった株式を持っている株主は少数なので、少数株主と言います。
株を一定以上持っている株主には「少数株主権」という優遇された権利を持ちます。原則的には一株のもつ権利は平等なのですが、少数株主権はその株主平等原則の例外と言えます。

会社法にあたる上で、難しそうに思える部分の代表格が、少数株主権の「総株主の議決権の1%以上」「総株主の議決権の3%以上または発行株式の3%以上」などの要件です。
これに対応する権利の内容やさらに株式の保有期間も要件に加わるものだから、さらに複雑さが増します。

議決権の要件 保有期間 権利の内容
議決権の1%以上または300個以上 行使前6か月 (取締役会設置会社の)株主総会の議案提案権(303)
議決権の1%以上 行使前6か月 株主総会検査役選任請求権(306)
議決権の3%以上または発行済み株式3%以上 要件なし 会計帳簿閲覧権(433)、業務に関する検査役選任請求権(358)
議決権の3%以上または発行済み株式3%以上 行使前6か月 役員解任の訴えの提起権(854)
議決権の3%以上 要件なし 役員等の責任免除に対する異議権(426)
議決権の3%以上 行使前6か月 株主総会招集権(297)
議決権の10%以上または発行済み株式10%以上 要件なし 解散請求権(833)

以上のように一覧にしましたが、数字を覚えるよりもどちらの要件が厳しくなるかという見方で内容を理解したほうが良いと思います。

各種書類の閲覧請求権

書類の内容 閲覧権者 裁判所の許可が必要な閲覧権者
定款(31) 発起人、株主・債権者 親会社社員
株主名簿(125) 株主・債権者 親会社社員
株主総会議事録(318) 株主・債権者 親会社社員
取締役会議事録(371) 株主 (監査役・委員会設置会社の)株主・債権者・親会社社員
監査役会議事録(394) 株主・債権者・親会社社員
計算書類等(442) 株主・債権者 親会社社員
会計帳簿(433) 少数株主 親会社社員

すわる行政書士主な書類の閲覧請求権者を一覧にしました。
このなかで、3つの議事録の閲覧権者と、計算・会計に関する書類は混同させて試験で問いやすい所です。表のカッコ書きは条文番号です。表を見て覚えるだけではなく、ここに挙げたものは条文にも当ってくださいね。

会社法第31条

第31条(定款の備置き及び閲覧等)

  1. 発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
  2. 発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
    一  定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
    二  前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
    三  定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
    四  前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
  3. 株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
  4. 定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第2項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第1項の規定の適用については、同項中「本店及び支店」とあるのは、「本店」とする。
会社法第125条

第125条(株主名簿の備置き及び閲覧等)

  1. 株式会社は、株主名簿をその本店株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所に備え置かなければならない。
  2. 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
    一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
    二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  3. 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
    一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
    二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
    三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
    四 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
    五 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
  4. 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第2項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
  5. 前項の親会社社員について第3項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
会社法第318条

第318条(議事録)

  1. 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
  2. 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
  3. 株式会社は、株主総会の日から五年間、第1項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
  4. 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
    一 第1項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
    二 第1項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  5. 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第1項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
会社法第371条

第371条(議事録等)

  1. 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第369条第3項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
  2. 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
    一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
    二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  3. 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
  4. 取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第2項各号に掲げる請求をすることができる。
  5. 前項の規定は、取締役会設置会社の親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
  6. 裁判所は、第3項において読み替えて適用する第二項各号に掲げる請求又は第4項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第3項において読み替えて適用する第2項の許可又は第4項の許可をすることができない。
会社法第394条

第394条(議事録)

  1. 監査役会設置会社は、監査役会の日から十年間、前条第2項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
  2. 監査役会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
    一  前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
    二 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  3. 前項の規定は、監査役会設置会社の債権者が役員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
  4. 裁判所は、第2項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該監査役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第2項の許可をすることができない。
会社法第442条

第442条(計算書類等の備置き及び閲覧等)

  1. 株式会社は、次の各号に掲げるもの(以下この条において「計算書類等」という。)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
    一 各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第436条第1項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第319条第1項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間
    二 臨時計算書類(前条第2項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。) 臨時計算書類を作成した日から五年間
  2. 株式会社は、次の各号に掲げる計算書類等の写しを、当該各号に定める期間、その支店に備え置かなければならない。ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、支店における次項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
    一  前項第一号に掲げる計算書類等 定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第319条第1項の場合にあっては、同項の提案があった日)から三年間
    二  前項第二号に掲げる計算書類等 同号の臨時計算書類を作成した日から三年間
  3. 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
    一 計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
    二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
    三 計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
    四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
  4. 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の計算書類等について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
会社法第433条

第433条(会計帳簿の閲覧等の請求)

  1. 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
    一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
    二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  2. 前項の請求があったときは、株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
    一 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
    二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
    三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
    四 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
    五 請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
  3. 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、会計帳簿又はこれに関する資料について第一項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
  4. 前項の親会社社員について第2項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。