監査等委員会設置会社は、平成26年会社法改正により新設された機関です。

契約チェックこの監査等委員会設置会社が導入された背景には、上場企業の企業統治の適正化に対する機関投資家からの要望に応えるためという側面があります。
上場企業の経営に対する監督機能の中心的な役割を期待されたのが社外取締役です。社外取締役の設置を法定している(旧)委員会設置会社は、そのような要望に応えることを期待されていたはずです。
しかし、ほとんどの上場企業(公開会社かつ大会社)が、機関設計として「監査役会設置会社」か「委員会設置会社」をいずれかの形態を選択しなければならないのに対し、2015年時点で委員会設置会社は65社程度しかなく、ほとんどが社外取締役の設置を法定していない監査役会設置会社を採用している状況です

そこでもう一つの選択肢である「監査等委員会設置会社」を加えることにしたのです。

ただ、「監査等委員会設置会社」という選択肢を用意しても、それだけでは既存の監査役会設置会社が社外取締役を設置してまで監査等委員会設置会社に移行する動機にはなりません。

社外取締役を置いていない場合の理由の開示

第327条の2 (社外取締役を置いていない場合の理由の開示)

事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項 の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。

平成26年改正会社法は、大会社で上場企業の監査役会設置会社に対し、社外取締役を置くことが相当でない理由を株主総会で説明することを義務付けました。

気付いた男さぁ、これは困りました。社外取締役を置くことが相当でない理由なんて難しいと思います。例えば「監査役会に社外監査役がいますから十分な体制です」と説明しても、「社外取締役を置くことが相当でない」とは言えません。

監査役等委員会設置会社はそのような社外取締役を設置していなかった監査役会設置会社の受け皿として機能します。

監査役会設置会社の監査役会は3名以上の監査役で構成され、そのうちの半数以上が社外監査役でなければなりませんから少なくとも2名以上の社外監査役が必要です。
監査役会設置会社が第327条の2の説明義務を回避するには、少なくとも社外取締役1名を採用し、社外役員が3名以上になりますが、監査役会設置会社が監査等委員会に移行する場合は、社外監査役を、社外取締役に振り替えることで社外役員を2名に抑えることが出来ます。

監査等委員会

監査役会設置会社及び指名委員会等設置会社との比較

監査役会設置会社
(監査役)
監査等委員会設置会社
(監査等委員)
指名委員会等設置会社
(監査委員)
選任 株主総会の普通決議 株主総会の普通決議で監査等委員として選任される 株主総会の普通決議で取締役として選任され、取締役会の決議により、監査委員として選定される。
解任 株主総会の特別決議 株主総会の特別決議 株主総会の普通決議
選任議案に対する同意 監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない。 監査等委員である取締役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査等委員会の同意を得なければならない。 取締役選任のための同意は不要
任期 4年(短縮することは出来ない) 2年(短縮することは出来ない) 1年(定款の定めにより短縮することが出来る)
報酬 定款又は株主総会決議で定められる 定款又は株主総会の決議で、監査等委員ではない取締役の報酬とは区別して定められる。 個別の役員の報酬は報酬委員会が定める
執行権 代表取締役
選定業務執行取締役
代表取締役
選定業務執行取締役
代表執行役
執行役

上記の比較のように、監査等委員会設置会社は、監査役会設置会社と指名委員会等設置会社の間をとったような特徴があります。
この他、監査等委員は、監査等委員並びにその他の取締役の選任、解任及び報酬に対して株主総会で意見を述べることが出来ます。
指名委員会や報酬委員会ほど強い権限があるわけではないですが、監査「等」委員と名付けられているように取締役の職務に対する監査のみならず、選任、解任及び報酬に意見することで、人事、報酬にも影響を与えることが出来ます。