取締役会の招集

取締役会の招集は、株主総会の招集と混同しやすいと思いますので、注意しながら進めてください。

会社法第366条

  1. 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。
  2. 前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた取締役(以下この章において「招集権者」という。)以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる。
  3. 前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした取締役は、取締役会を招集することができる。

取締役会は各取締役が招集できるのが原則です。ただし、定款又は取締役会で招集権者を定めることが出来ます。
この場合は、代表取締役が招集権者となることが多いのではないかと思います。

招集権者を定めた場合は、各取締役自ら招集は出来ませんので、取締役会を開催する理由がある場合は、招集権者へ招集を請求することができます。

しかし請求しても招集権者が取締役会の招集を通知しない場合も考えられます。

招集権者が取締役会の招集に応じない場合

例えば、6月2日に取締役が招集権者に、招集を請求した場合。
請求した日から5日以内(6月7日まで)に、「請求した日から二週間(6月17日)以内の日を取締役会とする」通知が無い場合は、請求した取締役が自ら招集することが出来ます。

言い回しがややこしいですね?。

別な言い方をすると、いくら請求から5日以内に通知を出したからといって、その通知の内容が「6月30日に取締役会を行う」という内容の通知ではダメということです。あくまで「請求日から2週間以内に取締役会を行う」という通知が必要です。

招集手続きの省略

取締役会を招集する場合は、会の1週間前までに通知を行うのが原則ですが、全員の同意があれば招集手続きを省略することができます。
そのため、予め取締役全員の同意で定期的に行っている取締役会では招集通知がなくても大丈夫です。

第368条(招集手続)

  1. 取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
  2. 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
株主、監査役の取締役会招集手続き

取締役だけではなく、必要があると認められるときは監査役も招集を請求することができます。
また、監査役設置会社ではない取締役会設置会社では、株主が取締役会の招集を請求できます。何れの場合でも、366条3項と同様の手続きで自ら招集することも出来ます。

監査役設置会社ではない取締役会設置会社とは、「監査役が会計監査に限定されている会社」OR「会計参与を置いている会社」です。(これについては後の記事に詳細を書いています。「監査役の役割」「会計参与と会計監査人」
このような会社では、株主が取締役の監視を行う役割も果たしています。

 

取締役会の決議

第369条(取締役会の決議)

  1. 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
  2. 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
  3. 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
  4. 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
  5. 取締役会の決議に参加した取締役であって第3項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

取締役会では、1人1議決権で、出席取締役の過半数の賛成で決議されます。 この議決権行使は、取締役本人によって行わなければならず、代理人に委任することは出来ません。
また、取締役会の決議について特別利害関係を有する取締役は、決議に加わることが出来ません。

この辺りは株主総会との比較で間違いやすい所なので注意しましょう。

特別利害関係を有する取締役とは、例えば、利益相反取引を行おうとしている取締役が、その利益相反取引の承認を行う取締役会との関係で特別利害関係があると言えます。

また特別利害関係を有する取締役について、代表取締役を解職する場合に当該取締役は特別利害関係人にあたるとする判例があります。(最判昭和44年3月28日)一方、代表取締役を選任する取締役会決議においては、当該取締役は議決権を行使できるとしています。

取締役会の議事録には出席した取締役、監査役全員が署名(記名)押印しなければなりませんが、その取締役会で反対した者は、議事録に対して異議をとどめないと、決議に賛成したものと推定されます。(「取締役会で反対したから署名押印しない」というのはダメです。)

議事録は10年間本店に備え置かれます。議事録の閲覧権者も併せて確認しておきましょう

取締役会の決議の省略

第370条(取締役会の決議の省略)

取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

取締役全員が書面や電子決裁で提案に同意した場合は、取締役会の決議があったものとみなされるという定款の定めを置くことが出来ます。
全員の同意が書面等で取れれば当然に省略OKというわけでは無く、予め定款の定めを置いておくことが必要です。
また、取締役全員が同意の書面を提出しても、監査役がその提案に異議を唱えれば取締役会の決議を省略することは出来ません。

 

取締役会決議の瑕疵

株主総会決議の瑕疵とは異なり、取締役会決議の瑕疵については会社法で特別な規定を置いていません。ですので、一般原則に従い、瑕疵のある決議は原則として無効になります。

取締役会決議の瑕疵とは、招集手続き違反、定足数不足、特別利害関係人の参加などがあります。

ただし、瑕疵ある取締役会決議により取締役が行った行為について、当然に無効となるわけではありません。軽微な瑕疵の場合や、第三者と取引があった場合は、有効となる余地もあります。