実質的には払い込みといえないが、外観上の払い込みを作り出す行為を仮装の払込といいます。
これには「預合い」「見せ金」という手法があります。

預合い


預合いとは、払込金融機関の職員とグルになり、その金融機関からお金を借りて、それを出資金に充てることです。預合いでは、外観上は払込口座に金が入金されていますが、それを返済するまでは引出さない約束をしているので、資本金を信用した債権者を欺くことになるし、実質的に会社財産を形成していないといえます。

見せ金


見せ金とは、実際に現金が動いて払込口座に入金されていますが、それは払込金融機関以外の第三者から借り入れた財産でまかなっており、会社が成立した後にその第三者へ返金されます。このように会社財産を形成する意思が初めからないなど計画的な場合も、実質的に会社財産を形成していないといえます。

仮装の払い込みの責任については平成26年会社法改正で明文化されました。今後の試験で狙われる部分であると思いますのでまとめてみたいと思います。

(出資の履行を仮装した場合の責任等)
第52条の2

  1. 発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。

一  第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
二  第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)

  1. 前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
  2. 発起人が第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
  3. 発起人は、第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第六十五条第一項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。
  4. 前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

ここで責任を取るべき者は、
① 払い込み等を仮装した発起人
② 発起人が仮装することに関与した発起人又は設立時取締役

①~②の者は原則的に仮装払込み等に係る金銭等の全額を会社に支払う義務を負います。この責任は連帯責任です。
ただし②は「注意を怠らなかったことを証明した場合」にはこの責任を免れます。

出資の履行が仮装され会社に資本が不足している場合は、その支払いが無ければ、株主としての権利を行使することは出来ません。

※5項については条文の解釈でわからない 所がありますので、解説は後日加筆します。

次から設立時役員等について書いていきますが、設立後の役員等と内容が重複する部分もありますので、必要な部分をかいつまんで紹介していきます。